ちえきちぶろぐ

脊損車いすの旦那とのカナダ暮らし

旦那が屋根から落ちた日(64)

事故や怪我で、突然「これから車いすの生活になります」って言われた時って、大抵の人は”悲しみの5段階”と同じ様に、すぐに車いすになるという事実を受け入れする事は難しいんじゃないかと私は思っていました。

リアル 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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”悲しみの5段階”というのは、例えばお医者さんに癌を告知された方が

1)否認:自分が癌だということが信じられない状態

2)怒り:なんで自分が、とか運命・他人に対しての怒り

3)交渉:何でもしますので神様!という段階。しなければよかった、こうすればよかったなど後悔したりする時期

4)抑うつ:それでもどうにもならず、誰とも会いたくない、気力がなくなる時期

5)受け入れ:悲しみを乗り越えて最後に事実を受け入れる

という様に、精神面プロセスを踏んでいくというセオリーなんだそうです。

私が同じ様な状態になったら、きっとこの通りの段階を踏んでいくという自信があります・・・

 

皆さん、井上雄彦さんの「リアル」という漫画を読んだことはありますか?私はたまたま、前の仕事先のボスが単行本を持っていて、「すごく面白いから!」と、旦那が車いすになるずっと前に借りて読んだことがあるんですが、”車いすバスケ”の話なんですね。ネタバレしたくないので詳しく書きませんが、このリアルの登場人物の一人・高橋君が事故で脊髄を損傷し、下半身麻痺で車いすになります。

で、この高橋君、完全にこの悲しみの5段階の通りに気持ちが動いていくんです・・・!

 

旦那が車いすになるとわかった時に、真っ先に頭に浮かんだのがこの「リアル」の高橋君なんです。旦那がお医者さんに

「あなたの脊髄はこれ以上治る見込みはありません。これからは車いす生活になります」

と言われる時に、高橋君の様に怒りが爆発してその後生きる気力がなくなるのでは・・・と心配した覚えがあります。車いすじゃあれも出来ない、これも出来ない、と言って、どんどん後むきになってしまうんじゃないかとか、歩けないという事で癇癪を起こすんじゃないかとか、色々不安でした。漫画の中で高橋君はお母さんに辛くあたったり、自分を傷つけたりもしてたので・・・

 

病院でファミリーミーティングをするまでは、旦那もたまに『治ったら歩ける様になる』ということを前提で話をすることがあって、私は実際に旦那が治ると信じているのか、車いすになるということを否定しているだけなのか、判断がいまいちつかなかった時期がありましたが・・・まぁこの頃が5段階のステージ1・否認だったのかもしれませんね。

この後旦那の精神面はどうなるか・・・高橋君の様になるか・・・?

続きます。