ちえきちぶろぐ

脊損車いすの旦那とのカナダ暮らし

旦那が屋根から落ちた日(2)

目の前で起こった事がよく理解できないまま、地面に横たわったままで呻き声をあげる旦那に駆け寄りました。

 旦那の名前を呼びながらそばにしゃがみ込んだ時、旦那が目を開けたんですが・・・目は開いているものの焦点は合わずうつろで、どこを見ているのかわからない状態でした。

 

私はパニック一歩手前で、どうすれば良いのか何をするべきなのかなど全くわからずオロオロしていたんだと思います。気がつくとお隣のおじさんが

「隣人が二階の屋根から落ちて怪我しているんだ!すぐに救急車をよこしてくれ!」

と、携帯で救急車を呼んでいる声が聞こえてきました。そしてご近所からたまたま庭掃除をしていたお兄さんも騒ぎを聞きつけて駆けつけてくれていました。

 

運悪く庭のコンクリートの真上に落ちた旦那は、側頭部から出血もしており、呼吸が「ヒューヒュー」と浅く、息をするのがとても辛そうでした。ご近所のお兄さんが大声で

「頑張って息をしろ!」とか「動かないで!」

と声をかけると、旦那はわずかに頷いたりするんですが、下半身を無意識に動かそうとしていました。

 

救急車が来るまで何か上にかける毛布か何かを持ってきてとお兄さんに言われた私は、その時点で携帯を持っていない事、11歳になる娘が何事かとドアからこちらを見ていることに気がつきました。

 

急いで家の中に入り、娘にお父さんが屋根から落ちた事、救急車を呼んだ事を早口で伝え、そこらへんにあった毛布を適当に掴んで外に戻りました。

その間もお兄さんは旦那の意識がなくならないよう、大声で話しかけ続けてくれていましたが、目は中ば閉じかけていて、素人目にも相当重症に見えた覚えがあります。

 

慎重に旦那に毛布をかけて側に屈んだ途端、

 

「もしかしたらこのまま旦那に逝かれてしまうかも・・・」

 

という思いがはじめて頭をよぎりました。

 

続きます。