ちえきちぶろぐ

脊損車いすの旦那とのカナダ暮らし

旦那が屋根から落ちた日(3)

旦那に先立たれてしまうかも・・・と思った瞬間に、その半年前に突然逝ってしまった母親の事を思い出して目の前が真っ暗になりました。

 大好きだった母親が亡くなった時も寂しくて寂しくて、この世の終わりのような状態に陥っていたんですが、そのつらい時期を乗り越えられたのも旦那や娘が側で支えてくれたから。

 

その旦那も私を置いて逝ってしまう!?と思った瞬間、今まで一緒に過ごした思い出が脳裏に浮かんでは消え、浮かんでは消え・・・

 

硬くて冷たいコンクリートの上に下半身を少し捻るような格好で横たわる旦那は、相変わらず呼吸が上手くできないようで、辛そうに「ハッ ハッ ハッ」と息をして、近所のお兄さんが止めるのも聞かずどうにかして上半身を起こそうとしていました。

 

手を握って動かないように声を掛ける事しか出来ない中で、もし旦那のこの辛そうな呼吸が止まってしまったら・・・虚ながらも開いている目が動かなくなってしまったらどうしよう・・・と、私の方も心臓が止まりそうになっていました。

 

「早く早く、旦那がまだ息をしているうちにお願いだから救急車が来ますように!お願いだから早く!」と、中々到着しない救急車にもイライラした覚えがあります。

 

この時もしご近所に誰もいなくて私一人だったらと思うと今でもゾッとします。というのも、庭仕事中だったので携帯は二階の部屋に置きっぱなしでしたし、突然の出来事すぎて気が動転し、救急車を呼ぶという当たり前の事さえすぐには出来なかったと思うからです。何かあったら911(カナダでは警察や救急車は911に電話します)にすぐ電話するというのは、自分がパニクってしまうと中々難しいですよね。

 

と、まぁそうこうするうち、どのくらい時間がたったのかは今でも全くわからないですが、やっと遠くから救急車のサイレンが聞こえてきました。

 

続きます。